アメリカ・ロサンゼルス近郊の山火事は3日目に入り、急速な拡大の原因になった強い風は収まってきていて、消火活動が本格化しています。
これまでに7人が死亡し、地元メディアは焼失するなどした建物はあわせて9000棟を超えるとする当局の見方を伝えました。
アメリカ西部ロサンゼルス近郊のパシフィック・パリセーズで7日に発生した山火事は、非常に強い風によって急速に燃え広がりました。
またロサンゼルスの北東の地区などでも山火事が起きていて、地元当局によりますとロサンゼルス周辺の山火事はあわせて5か所のおよそ140平方キロメートルに広がり、これまでに7人が死亡したということです。
地元の新聞ロサンゼルス・タイムズは9日、当局が上空から赤外線カメラを使って分析した結果、焼失するなどした建物はあわせて9000棟を超えると推定されると伝えました。
また、アメリカの気象情報会社「アキュウェザー」は8日、被害が深刻な地域は不動産価格がアメリカで最も高い地域の1つで、初期段階の推計として経済的な損失は520億ドルから570億ドル、日本円にして8兆2000億円から9兆円にのぼるとみられると発表しました。
山火事の急速な拡大の原因になった強い風は収まってきていて、消火活動が本格化していますが、地元の警察は被害の全容把握には時間がかかるとしていて、被害の規模はさらに大きくなる可能性もあるとしています。
アメリカのバイデン大統領は9日、ホワイトハウスで関係省庁の責任者を集めて対策会議を開き「これまでで最悪の山火事だ。連邦政府としてできることはすべてやる」と述べました。そのうえで、次のことを明らかにしました。▽今後、180日間で必要となる、被災者の一時的な避難先の確保や危険物の除去などの費用を連邦政府が全額負担▽消火活動にあたる追加の消防士400人と30機以上のヘリコプターや航空機を派遣▽国防総省からも要員500人や輸送機を派遣また、隣国のカナダから追加の消防士と航空機の派遣を受けるということです。
バイデン大統領は9日から在任中最後の外国訪問としてイタリアを訪れる予定でしたが、山火事対応を指揮するため取りやめることを発表していました。
7日から各地で続く山火事の影響で、ロサンゼルスでは大気汚染が深刻になっています。現地時間の9日午前11時ごろ、ロサンゼルス空港周辺の上空から撮影した映像では、広い範囲が茶色い空気に覆われ、遠くを見渡すことができなくなっていました。
地元メディアによりますと、ロサンゼルスのダウンタウン付近では、煙の影響で空気中の大気汚染物質PM2.5の濃度が高まっていて、8日には1時間の値が1立方メートルあたり483.7マイクログラムと、この地域の最も高いレベルを記録したと伝えています。
林官房長官は閣議のあとの記者会見で「甚大な被害に関し心からお見舞いを申し上げる。犠牲になられた方々に心からの哀悼の意を表すとともに、被害に遭った方々のご回復を願っている。発生以降、アメリカ政府やカリフォルニア州政府とも緊密に意思疎通しており、要請があった場合には必要な支援を検討したい」と述べました。
また「現時点までに邦人の生命や身体に被害が及んでいるという情報には接していない。在留邦人に対し注意を呼びかける領事メールを出しており、引き続き安全確保に万全を期していく」と述べました。
石破総理大臣は、旧ツイッターの「X」に「悲惨な山火事に大変心を痛めている。犠牲となられた方々に心から哀悼の意を表するとともに負傷された方々の早期回復をお祈り申し上げる。この困難な時期に私たちはアメリカ国民と共にある」としたメッセージを投稿しました。
山火事の影響で、NBA=アメリカプロバスケットボールで八村塁選手が所属し、ロサンゼルスを本拠地とするレイカーズの9日の試合が延期になりました。レイカーズのホームアリーナ「クリプト・ドットコム・アリーナ」のある中心部では直接的な被害は出ていないものの、球団は9日、周辺地域の状況を考慮してこの日予定していたホーネッツとの試合を延期すると発表しました。代わりの日程は未定だということです。レイカーズは「私たちの思いは、この想像を絶する事態に直面しているすべての人々とともにある」とコメントしています。
ロサンゼルスでは8日に同じ会場で予定されていた、NHL=北米プロアイスホッケーリーグのキングス対フレームズの試合も山火事の影響で延期となっていて、今後のスポーツイベントへの影響も懸念されています。