韓国の航空事故 機体後部から2人救助、前方より後方の席が衝撃弱まり生存率高まる傾向

29日、務安国際空港で起きたチェジュ航空機事故で救助された乗客(聯合=共同)

29日に韓国の務安(ムアン)国際空港で発生した航空事故で、救助された2人は、機体後方の機尾付近から救出された。過去の事故分析によると、前方よりも後方の席に座っている乗客の方が事故時の生存率が高いとされており、今回の事故でもそれが証明されることになりそうだ。なぜ、後方席の方が生存率が高まるのだろうか。

生存率が前方より4割高い分析も

米誌ポピュラーメカニクスとタイムが米運輸安全委員会(NTSB)のデータを基に行った2007年の調査によると、1971年以降に発生した航空機事故では、後方席の生存率は69%で、主翼のある中央席(56%)と前方席(49%)に比べて高かった。特に生存率では、前方席に比べて後方席は20ポイント(約4割)も高い結果となった。

また、2015年にタイムが1985年以降に起きた飛行機事故を調査したところ、死亡率は後方席が32%、中央席が39%、前方席が38%となり、同様に後方席の方が安全な結果となった。特に、後部真ん中の座席は死亡率が28%と最も低かった。

520人が亡くなった1985年の日航ジャンボ機墜落事故でも、生き残った4人は後方席に座っており、一連の調査結果も踏まえると、前方よりも後方席の方が安全性が高いことが認知されている。

先に不時着の衝撃受ける前方席

後方席の安全性が高い理由について、旅行事業を展開するエアトリは、「機体の前方や胴体部分は、不時着の衝撃を先に受けやすく、その分後方のダメージが低くなるため」と説明している。事故調査で重要となるフライトデータや操縦席での音声データの記録装置を内蔵したブラックボックスは、「念を入れて後部に収められている」という。

また、2012年に米映像配信大手のディスカバリーチャンネルなどが行った航空機墜落事故の再現実験では、乗客が正面から受ける重力加速度(G)は前方席で即死レベルの12G(重力の12倍)だった一方、後方では6Gに半減することが判明した。墜落時に受ける衝撃は後方にかけて弱まることが証明され、最も死亡率が高いのは操縦席から近い前方席付近で、生存可能性が高いのは最後列付近だと結論付けている。

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